2 ヨーロッパ世界の拡大

5 ヨーロッパの変動

 インド航路の開拓、新大陸への到達はヨーロッパに大きな影響を及ぼした。

 従来のヨーロッパ規模での遠隔地貿易は、今やアジア・新大陸を含む地球規模に拡大し、商品の種類や量は飛躍的に増大し、世界の一体化が進展していくこととなる。

 インド航路の開拓によって直接アジアへ行く道が開かれ、従来のイスラム商人を介する地中海経由の東方貿易は衰退に向かい、それにともなって商業の中心はヴェネツィアなどのイタリア都市から大西洋岸のリスボンに移り、リスボンは16世紀を通じて繁栄していく。このような経済上の変化を一括して「商業革命」と呼んでいる。

 また16世紀中頃以降、新大陸から安価な貴金属が、特にポトシ銀山の発見以後、おびただしい銀がヨーロッパに流入したために、ヨーロッパでは銀の価値が下落し、そのために物価が2〜3倍に上昇した。この全ヨーロッパでの物価上昇は「価格革命」と呼ばれている。

 新大陸からの大量の銀の流入は、それまでヨーロッパ第一の銀の産地であった南ドイツ(特にアウグスブルク)の銀を独占していたフッガー家を没落させ、また南ドイツの銀に依存していたヴェネツィアなどのイタリア諸都市の没落を決定的にした。

 アメリカ大陸との交渉が進展するにつれて、アメリカ大陸からユーラシア大陸へとうもろこし・じゃがいも・さつまいも・かぼちゃ・トマト・とうがらしなどアメリカ大陸原産の作物がもたらされ、以後ヨーロッパ・アジアの人々にとって重要な作物となっていく。特にじゃがいもはヨーロッパの人々にとって欠かすことに出来ない重要な食料となっていった。しかし、その一方でタバコや梅毒など有り難くないものももたらされた。

 そしてユーラシア大陸からアメリカ大陸へは、小麦・さとうきび・コーヒー・馬・牛・羊そして鉄器や車輪がもたらされ、アメリカ大陸の人々の生活に大きな影響を及ぼすようになる。同時に天然痘やペスト・インフルエンザなどの病原菌が持ち込まれ、免疫のないインディオの人口減少の一因となった。




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