2 ヨーロッパ世界の拡大

1 大西洋時代へ

 西ヨーロッパ世界は、十字軍やレコンキスタなど、外に向かって膨張する傾向を強めていたが、特に15世紀末から16世紀にかけての「大航海時代」にめざましい対外進出を開始した。

 インド航路の開拓・新大陸への到達などに代表されるヨーロッパ人の対外進出は、従来「地理上の発見」と呼ばれてきたが、ヨーロッパ中心史観からの表現であるので、今日では「大航海時代」という表現が多く用いられている。

 ヨーロッパ人の対外進出の背景としては、(1)レコンキスタを通じて中央集権化したポルトガル・スペインがレコンキスタの延長としてキリスト教世界の拡大に強い意識を持ち、対外進出に意欲的であったこと。

 (2)東洋の物資、特に香辛料(こしょう・肉桂・丁字など)に対する需要が増大したこと。ヨーロッパ人の間に肉食が普及すると、調味料や肉の保存に使われた香辛料への需要が増大したので、商人達は直接アジアへ赴いて香料貿易に従事し、巨大な利益を獲得しようとした。

 (3)従来の東方貿易は、イスラム商人を介して香辛料などの東洋の物資を獲得していたので、地中海経由で行われ、ヴェネツィアなどイタリア諸都市の商人に独占されていた。その上、オスマン=トルコ帝国が勃興し、東地中海岸を占領し東方貿易を妨げたので、イスラム商人を介することなく、オスマン=トルコ領内を経由しないアジアへの直接航路開拓の要求が高まった。

 (4)マルコ=ポーロの「世界の記述(東方見聞録)」などに刺激されてアジアの富などに対する関心が高まっていたこと。

 (5)地球球体説、羅針盤の改良、航海術・造船技術の発達など科学・技術の進歩により遠洋航海が可能になっていたことなどがあげられる。

 ヨーロッパ人の対外進出により、ヨーロッパ・アジア・新大陸を含む「世界の一体化」が進むこととなり、またインド航路の開拓・新大陸への到達などにより、ヨーロッパでの繁栄の中心は地中海から大西洋岸の諸国に移った。 




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