3 産業革命

3 交通・運輸機関の発達

 産業革命の進展にともない、原料・製品・特に重くて量のかさばる鉄鉱石や石炭などを大量に早く・安く輸送する必要から交通・運輸の部門で一大変革がおこった(交通革命)。

 18世紀後半には、運河を利用した舟運が大量の物資輸送に大きな役割を果たし、運河が盛んに建設された。特に1790年代は「運河狂時代」と呼ばれるほど運河建設がブームになった。運河建設は、最初は石炭を運ぶ必要から始まったが、当時の石炭船は運河の両堤を走る馬によって引かれて航行した。運河が使われたのは、馬車で運ぶよりもはるかに少ない馬で大量に運ぶことが出来たからである。しかし、19世紀に入ると運河は鉄道にとって替わられるようになった。

 1804年に、トレヴィシック(1771〜1833)が、初めてレールの上を走る蒸気機関車の試運転に成功したが、低速で安全度に問題もあり実用化には至らなかった。

 スティーブンソン(1781〜1848)は、トレヴィシックの蒸気機関車の欠点を改良し、石炭運搬用の実用蒸気機関車の開発に成功した(1814)。さらに1825年には、スティーブンソンの「ロコモーション号」が、35台の貨車と客車を引いて、ストックトン・ダーリントン間(イギリス東海岸の北、ニューカッスルの南)約17kmを時速約18kmで走った。 しかし、「ロコモーション号」も石炭消費量が多くて採算に合わなかったので、さらに改良を加えて「ロケット号」を製作した。ロケット号は、1830年に開通したリヴァプール・マンチェスター間を時速約40kmで走った。

 この成功に刺激されて、1830年代以後、イギリスを中心にヨーロッパ大陸・アメリカ大陸でも鉄道網が急速に拡大し、鉄道時代に入っていく。一方、海上交通の方でも19世紀にはいると蒸気船が登場してくる。

 アメリカ人フルトン(1765〜1815)は、世界最初の外輪式蒸気船クラーモント号(長さ45m、重さ150トン)を建造し、1807年にハドソン川(ニュー=ヨークを流れる川)240kmを時速約7.5kmで遡航することに成功した。

 さらに、アメリカ船サヴァンナ号は、1819年に初めて大西洋横断に成功し、29.5日でリヴァプール港に入った。サヴァナ号は、重さ320トンの木造・外輪式の機帆船であったが、ほとんど帆走し、蒸気力による航行はわずか85時間であり、積み荷派綿花であった。その後、1830年代にはスクリュープロペラを採用した汽船が登場し、サヴァナ号から20年後には大西洋横断は10〜15日に短縮された。

 交通・運輸機関の発達は、人や物の輸送の量・速度を飛躍的に増大させ、世界各地の時間的な距離を短縮し、世界の一体化をますます促進した。




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