3 産業革命

4 産業革命の波及

 世界で最初に産業革命を経過したイギリスは、先進工業国として、世界各地から原料を輸入し、良質で安価な工業製品を世界中に輸出して世界市場で圧倒的な地位を占め、「世界の工場」としての地位を獲得した。

 イギリスは、産業革命の技術的成果の独占をはかり、1774年に「機械輸出禁止令」を出し、他国や植民地への機械輸出や技術者の渡航を禁じた。その後、機械輸出禁止令は1825年に一部が解除され、1843年には全面的に廃止された。

 ナポレオン戦争の終了後、イギリスが機械の輸出を一部解禁すると、ベルギー・フランスなどのヨーロッパ諸国やアメリカでも産業革命が始まった。

 まず、豊富な石炭や鉄に恵まれ、またイギリスに一番近い地の利に恵まれていたベルギーで産業革命が始まった。1830年の独立後、伝統的な毛織物工業を基礎として工業化が進展し、ベルギーはイギリスに次いで早い時期に産業革命を経過した。

 フランスでも、イギリスが機械の輸出を一部解禁したことから産業革命が始まり、1830年代の七月王政の時期に本格的に進展し、19世紀の後半まではイギリスに次ぐ工業国の地位を確保した。しかし、フランスの産業革命は、フランス革命によって生まれた中小土地所有農民が多数を占めていたので労働者となる人口が少なく労働力が不足し、また資本の蓄積も遅れていたので、軽工業が中心で小経営が多く、資本主義の発展はゆるやかであった。

 ドイツとアメリカでは、ベルギーやフランスよりやや遅れて産業革命が始まった。
 ドイツでは、関税同盟の結成(1833)によって発展の基礎がつくられ、1840年代からラインラントを中心に工業化が進展し、特に1871年のドイツ統一後、国家の保護政策のもとで重化学工業が飛躍的に発展し、19世紀末にはドイツはアメリカ・イギリスに次ぐ工業国になった。

 アメリカは、米英戦争(1812〜14)によってイギリスから経済的に自立し、1830年代に木綿工業・金属機械工業が発展した。南北戦争(1861〜65)後本格化し、石炭・石油・鉄鋼を中心に工業がめざましく発展し、19世紀末にはイギリスを追い抜いて世界一の工業国になっていく。

 ロシアと日本の産業革命はさらに遅れ、19世紀末頃から産業革命に突入した。
 ロシアでは、農奴解放令(1861)後に徐々に進展し、1890年代には国家の保護とフランス資本の導入によって重工業が急速に進展した。

 日本は、明治維新後、欧米の先進国から技術を導入し、日清戦争(1894〜95)前後に製糸・紡績などの軽工業を中心に産業革命が本格化し、さらに日露戦争(1904〜05)前後に軍需部門を中心に重工業が発達して産業革命を達成した。

 産業革命を19世紀末から20世紀初めに経過した国々が現在の世界で先進工業国の地位を確立している。これら先進工業国と、第二次世界大戦に産業革命を経過したアジア・アフリカ・ラテン=アメリカの多くの発展途上国との間の経済格差が今日南北問題と呼ばれ、1960年代以後大きな問題になっている。




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