温度変化のデータ

 竹(孟宗竹、破竹)を中心にドラム缶釜で30回ほど焼いてみて、炭焼きのポイントをまとめてみました。

@ 自燃が始まったタイミング
 ・自燃が始まってからも空気口の大きさを調整しながら燃料の補給を続ければ、炭の収量が多くなる可能性がある。

A 空気穴の大きさ、煙突の塞ぎ具合
 ・自燃のタイミングはうまくつかめても、空気穴が大きすぎたり、煙突の面積が大きくて引きすぎれば、短時間で完了するが、炭のひび割れが多くなり、質は良くない。 反対に、空気が少なすぎると、自燃が続かなくなって、消えてしまうことがある。

B 完全に炭化したときのタイミング(全閉のタイミング)
 ・完全に炭化したタイミングを見逃して、いつまでも空気を送り続ければ、灰が多く収量が少なくなる。
 ・全閉のタイミングが早すぎると、炭になってない材料が残ってしまう。


の三つだと思います。

私のドラム缶釜では、
@ 自燃が始まったタイミングは、煙突出口の温度で確認しています。 84℃ぐらいという資料を見たことがありますが、私のドラム缶釜では、 75℃前後のようです。(ドラム缶の出口から1m上で測定) 1時間ぐらい焚いて、急激に温度が上昇して、70〜80℃のあたりで 安定する温度と考えれば良さそうです。 材料の水分が多いときや、ドラム缶の周囲の土の水分が多いときは、 自燃が始まるまでの時間が長くなるようです。 団扇や送風機で風を送り続ければ、自燃までの時間は短くなる。

A 私は、75℃前後で温度が安定して、20分前後に口炊きをやめて、 煙突を3/4程度塞ぎ(開口面積は、約40平方Cm程度)、空気穴を10〜50平方Cmで調整しています。
  温度が下がってしまうようなら、煙突の塞ぎすぎか空気口の塞ぎすぎです。 75℃前後の温度が維持できる範囲で、できるだけ空気の量を少なく したほうが、炭の収量や質は良くなります。
  最初の頃は、空気を入れすぎて、灰になってしまい、炭はわずかしか 取れませんでした。

B 完全に炭化が終わったときのタイミングは、 熱電対の温度計で 測定しながら、煙の出方と色で判断しています。
  炭化が続いている間は、70〜80℃の温度が続きます。 終わりに近づいて、水分が少なくなると、再び温度が上昇し始めます。 温度上昇が始まると、煙の出方も勢いよくなります。
  200℃を越えた頃から、竹酢液の量は少なくなり、タール分が多くなって くるので、竹酢液の採集は終わりにします。
  煙が青色になり、煙突の出口付近(20Cm程度)が透き通った 感じになって、煙の量が少なくなってきたら、炭化が終了したものとして、 空気口、煙突を完全に塞いでいます。
  最近では、焼け残りはほとんど見られなくなりました。 炭の量も、10〜15Kg程度収穫できていますので、全閉のタイミングは うまくいっているようです。

次に、温度変化の測定結果の一部を紹介します。


平成12年12月4日、第1回目の炭焼きを実施しました。 

 1回目は失敗するだろうということで、庭の竹垣を作ったときの竹の端切れ(ハチク)をつかうことにしました。思った通りみごとに失敗して、ほとんどが灰になって、わずかの炭が収穫できました。

* ほとんどが灰になって、炭が少しだけ取れました。

* 1回目は、100度までの温度計で、煙突の出口の温度を測定しました。
  いつ窯の中に火がついたのかが解らないので、煙突の出口の温度が84度になれば自燃に入っているという記事を見ていたので、出口の温度が85度になった12時に燃料の補給を やめて、焚き口を2Cm(40平方Cm)にしてみました。     

* 煙が青みを帯びてくれば、全部が炭になっているということでしたので、13時30分に焚き口を完全に塞いで、しばらく様子を見て、ほとんど煙が見えなくなった2時10分ごろ、煙突にアルミ箔を覆って完全に塞ぎました。

* 焚き口は2Cmと小さくしてみましたが、煙突を全開にしていたので、空気がたくさん入りすぎて竹が燃えてしまったのだろうと思えます。 

平成12年12月8日、第2回目の炭焼きを実施しました。

2回目からは、200度の温度計を使用しました。 

* 今回も、いつ自燃に入ったのかがよく分からなくてずるずると焚き続けて、11時40分に燃料の補給をやめて、焚き口を7Cm(140平方Cm)にしました。半分以上が灰になっていたので、もっと早く焚くのをやめて、焚き口を小さくしてもよかったのかな。
 今回も、煙突は全開のままだったので、次回は煙突も塞いでみることにする。

平成12年12月12日、第3回目の炭焼きを実施しました。 

 本格的な窯で炭焼きをしている先輩から、自燃が始まると焚き口から火を噴き出してくるという話を 聞いたので、今回は気をつけて観察してみた。11時40分頃に火を噴き出したように見えて、温度が上がり始めたので、煙突を2/3閉じ、焚き口を2Cmにした。急に温度が下がりだしたので、焚き口を6Cmにするとまた温度が上がり始めたので、1時間後にまた2Cmにしてみた。

* 1/3ぐらいは灰になっていたが、今回は12Kg程度の炭が収穫できた。

平成13年1月12日、第4回目の炭焼きを実施しました。 

 自燃に入ったタイミングはやはりよく分からなかった。途中で焚き口の開け具合を調整してみたが効果は分からない。全部が完全に炭になっていたので、完全に閉じるタイミングは良さそうである。  

平成13年1月21日、第5回目の炭焼きを実施しました。 

 温度が70度を超えて、安定してきたら自燃に入っているのではないかと思われたので、(9時30分頃、焚き口から炎を吹き出してきたように見えた)前回までとは早めに焚き口と煙突を絞ってみた。じわじわと温度が上がり続けたので、途中で焚き口を2Cmに、煙突を2/3閉じた。  

* 生焼けはなくて全部炭になっていたので、自燃に入ったタイミング、全閉のタイミングはこれで良かったのだろう。

平成13年2月3日、第6回目の炭焼きを実施しました。

* 5回目を基本に、ほぼ同様の過程で焼くことにした。    

* 焚き口付近は灰になっているが、かなりうまくいくようになった。   

* 4月までに12回、ほぼ同様に焼いてみたが、うまくいった。    

* 材料は、竹もカシ類も生のものを使ったので、乾燥したものならもっと早く焼き上がるのではないだろうか。