曹操の詩は楽府(がふ)といいます。当時の民間の歌謡を取り入れて曹操が創始した詩の形式で、後の五言詩などの漢詩の原形になっています。おおらかで率直
な作風が特徴。それまでの堅苦しかった詩の世界に新風を吹き込む、ニューウェーブだったわけです。後漢末期から三国時代にかけて、『建安の文学』という漢
詩の黄金期が花開きました。それを創始し、擁護したのが魏の武帝、曹操でした。 ここではカンザキが大好きな曹操の詩を紹介したいと思います。なるべくわかりやすい書き下し文、または口語訳で書くことにします。正確さよりわかりやすさを優先しますので、原文を読まれたい方には『人間三国志5 詩人の憂鬱』をおすすめします。 ※白文を載せたいのですが、当用漢字じゃなくて文字化けしちゃう!などの問題がありなかなか踏み切れません(汗)おいおいつけていきたい所存ではありますが、白文や他の解釈にご興味のある方は、コチラ↓をご参照下さいませ。 漢詩大会の漢詩全文/曹操 維基文庫 曹操作品の項 |
詩にかぎらずですが、曹操が提唱した基本理念として『通脱』というのがあります。通脱とは『かってきまま』という意味。いかにも曹操らしくてにや
けてしまいますが、彼の生きていた後漢末期は、一説に漢民族の人口が10分の1に激減したというほどのたいへんな乱世。人々は生き辛くにっちもさっちもいかない状態が続いていました。そこで曹操は、「もっと自由になろう、率直に生きよう」と宣言したのです。その後花開
く『建安の文学』には、この通脱の気風があふれているのです。 ■参考文献■ 林田慎之助「人間三国志 5.詩人の憂鬱」(集英社) 竹田晃「曹操 三国志の奸雄」(学術文庫) 竹田晃「曹操 その行動と文学」(評論社) 吉川 幸次郎「三国志実録」(ちくま学芸文庫) |